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8月 20, 2008
» WordCamp サンフランシスコ 2008 レポート拾い読み(その4)

8つ選んだWordCampレポート詳細のうち、後半4つです。前半はひとつ前の記事でどうぞ。

手間をかけないアップグレード

Hassle-free Upgrades by Sam Bauers

Hassle-free Upgrades by Sam Bauers

WordPress 2.7では自動アップデート機能がコアに組み込まれる計画になっていますが、現時点では毎回のアップグレードに頭を悩ませている方も多いかもしれません。
 
このプレゼンでは、WordPressの4種類のセットアップにおいてのカスタマイズ性とインストール、アップグレードのしやすさを比較しています。4種類の方法は以下の通り。

  1. レンタル(WordPress.comなどのMUベースブログ)
  2. ワンクリックインストール(前に紹介したDreamHost.comの「イージー・モード」など)
  3. FTPを使ったアップロード
  4. Subversionを使ったファイル更新

カスタマイズ性にこだわらないなら1や2、手間がかかるけどWordPress Automatic Upgradeプラグインがあれば結構楽になる3、最初の設定をしてしまえば履歴を残せたりバージョンごとのロールバックなんかもできる4、と、それぞれの利点と注意点がすっきり説明されています(スライドのPDF)。

4の方法についてはさらに、Managing a WordPress 2.6 installation with Subversion というスライドでもその仕組みや、WordPressを自分のSubversionプロジェクトの外部レポジトリとして取り込む方法が詳しく説明されています(こちらもPDFファイル)。

WordPressの現況

Matt Mullenweg on "State of the Word"

毎年恒例のMattによるこの基調講演ではいろんな統計情報や1年間のまとめ、今後1年の目標などが発表されます。

去年語られた「今後の課題」と比べてみると…。

  • メディアファイルの取り扱い→ 2.5でかなり改善された!
  • WordPress本体のバージョンアップをさらに簡単にできるようにする。→ もうすぐ実現?これについては今年も再び語っていたようです。
  • リッチテキストエディタのユーザビリティ → TinyMCE自体のバージョンアップアップに伴い、だいぶ改善されました。
  • WordPress.comも含むさらに高度な国際化 → 公式フォーラムもできたし、ローカルサイトの整備の面ではかなり前進しています。今後も国際化版に合わせた本体のアップグレード通知やプラグイン&テーマディレクトリの充実に期待してます。
  • Codexドキュメンテーションの整理、強化 → リデザインでけっこう分かりやすくなったとは思いますが、とにかく情報量が多い!それは良い事なんですが、検索に慣れていない人にはまだ分かりにくいかも。コード自体のインラインドキュメンテーションはかなり改善されました。
  • 記事のバージョンコントロール → 2.6で実現。

ということで、まだ課題や積み残しはありつつも、多くの面で予定に従って前進できた1年であったようです。
このプレゼンは他でも詳しい日本語の記事(TechCrunch Japan)があったので、統計の詳細などに興味のある方はぜひそちらも読んでみて下さい。

BuddyPressでフレンドリーに

WordCamp 2008 での BuddyPress プレゼン

WordCamp 2008 での BuddyPress プレゼン

最近ReadWriteWebでも、「
The Next Social Networks Will Be Powered By WordPress and Movable Type (ReadWriteWeb)" href="http://www.readwriteweb.com/archives/the_next_social_networks_powered_by_wordpress_movable_type.php">次にFacebookのような大ヒットとなるのは、WordPressかMovable Typeかも? [en]」といった記事がありました。この記事では、ブログは今までのように記事を公開するだけではなく、各ブログを軸としたソーシャルネットワーク(SNS)を形成するためのツールとしてますます重要になっていくのでは?ということが語られています。

Movable Type 4.2ではかなり「コミュニティづくり」を重視した機能が追加されており、すでに一歩先を行っている感がありますが、WordPressの方はというとまだ開発段階。WordPress MU(マルチユーザー版)用としてBuddyPressというプラグインがあるのですが、こちらの正式版の発表はは今年12月ごろになりそうとのこと。

BuddyPressが目指すのは、オープンで標準化された、誰でも自分のデータを保有できるソーシャルネットワークプラットフォーム。プレゼンでは、WordPressを基盤にする事で、すでにある豊富なテーマやプラグインを活用できるし、カスタマイズや新しい機能の追加もやり方が分かっている人が多いのが最大の利点、と言っています。(日本語圏では違いますが)WordPressベースのサイトが多い分、共通プラットフォームのネットワーク自体が広いというのも利点のひとつになると思うんですが、「閉ざされた庭」からユーザーを解放すると言うのなら、Movable Typeをはじめとした他のブログソフトや既存のSNSとのつながりも重視するようになってくれればいいのですが。

BuddyPressのテスト版はオンラインSVNにありますので、試してみる事もできます。

スライド: BuddyPress@WordCamp

Crazyhorseにまたがってみよう

Liz Danzico on CrazyHorse UI

Liz Danzico on CrazyHorse UI

Crazyhorseとは、さらなるユーザビリティ改善を模索するために作られたWordPressブランチのコードネーム。ユーザビリティテストでのアイトラッキング調査に基づいて、管理画面を変更したバージョンです。

socialTNTにてWordCampでのビデオが見られますが、メインの管理メニューを左カラムに移動したり(Drupal風)、ダッシュボードや投稿画面のタグやカテゴリを本文下から右カラムに移動したりといった変更の他に、コメント承認画面やメディアアップローダーなどでも手が加えられています。

管理画面に大幅な変更が加えられた2.5リリースにも結構時間がかかったし、プラグインとの互換性なんかも考えると実際のリリースはまだしばらく先になりそうですが、ビデオで見ただけでもこれらの変更はなかなか楽しみ。改善が加わったとしても何度もコロコロとデザインを変えるのは良くないですが、このCrazyhorseのアイディアをじっくりと練った上で、今後もさらに使い勝手が向上するよう期待しています。

8/21追記: Crazyhorseがtrunkとマージされたようです!

以上、ぎっしり詰まったスケジュールのうちたったの8つを簡単に紹介しただけですが、各セッションのレポートはこのへんで終わりにしたいと思います。もしスケジュールを見てもっと詳しく知りたい!というものがあったら説明しますので、コメントしてください。

写真クレジット(上から): sheilaellenemilychangmagerleaguesDuane Storey

8月 19, 2008
» WordCamp サンフランシスコ 2008 レポート拾い読み(その3)

WordCamp サンフランシスコ 2008 レポート拾い読み、3本目になりました(その1その2)。迷いつつ、8つほど選んでみたセッションのうち4つの詳細です(その4につづく)。

より高速なサイトの構築

ハイパフォーマンスWebサイト ―高速サイトを実現する14のルールこのタイトルを見て、「うーん、サーバー側のチューンアップ関連のお話?」と思った方も多いかもしれませんが、いえいえ、違います。フロントエンド(XHTML/CSS/JavaScript)のコーディングがロード時間のうち8割に影響してくる、という事実に基づき、Yahoo!サイトの最適化やFireBug、YSlowなどのツール開発に関わってきたスティーブ・サウダーズ氏のプレゼン。

基本的には彼の書籍、「ハイパフォーマンスWebサイト ―高速サイトを実現する14のルール」に書いてある事と似た内容をカバーしていたようですが、今回はMa.ttの分析を通してWordPressサイトに実用的なコツを例示していました。

  • ページのロードに必要なJavaScriptとそうでないものを分け、時間差で読み込まれるようにする
  • .jsや.cssファイルをまとめ、合計数とボリュームをなるべく少なくする
  • CSSバックグラウンドの画像をスプライトして数を減らす(関連リンク
  • スクリプトがCSSの後に読み込まれるようにする
  • できる限りgzipを利用する
  • ETag、Expireを正しく設定する

これらのコツはYSlowを使っていればアドバイスとしても出てきます。また、Yahoo! Developers Networkブログでも説明されていますし、日本語訳もあります。WordPressテーマを作る際、必ず押さえておきたい内容が詰まっていますので、書籍かネットの情報をぜひ読んでみて下さい。

LOLcatとバイラルの秘密

Ben Huh on Virality

Ben Huh on Virality

猫の写真にキャプションを付けたlolcatで有名なユーモアサイト、I Can Has Cheezburger?の運営者によるプレゼン。WordPress.comサイトとしてトップクラスのトラフィックを誇るこのサイトですが、ただ面白おかしいだけではなくて人気サイトに必要なコツをしっかり押さえて運営されています。

意外にも(?)軸となっているのは、サイトへのリンクを含めたスパムぎりぎりのような「招待状」メールをばらまくだけじゃなくて、充実したコンテンツをしっかり育てていく事で地に足の着いた「バイラル」効果を狙う方が良いよ、というごく正統派の姿勢。

結局はどんなギミックを使ってサイトにトラフィックを呼び寄せても、それを継続していくためには内容がないとダメだし、クチコミというゆっくりだけど確実な方法が長期的には効果がある、とのこと。あたりまえのアドバイスですが、これほどの人気サイトの運営者が言うと説得力があります。

lolcatって何?という方は、PDF形式のスライドでご確認ください :)

WordPressコーディングとセキュリティ

WordPressの主要開発者の一人であり、多数のプラグインも作成しているマーク・ジャクイス氏によるプレゼン。主にプラグイン開発者に向け、セキュリティの面で問題のないコーディングをするためのコツを紹介。WordPressでもXSS、CSRF、SQLインジェクションなどを防ぐための独自の仕組みが色々と増えてきていますが、実際にはまだプラグイン開発者全体に広まっていないものも多いと思います。

コードを挙げた説明と例はスライドで紹介されていますので、詳細はそちらでどうぞ。

WordPressとマイクロフォーマット: これまで、現在、そしてこれから

Tantek Çelik on Microformats

Tantek Çelik on Microformats

WordPressがブックマークリンク機能にXFNというマイクロフォーマットをけっこう前から採用しているのはご存知の方もいると思いますが、その他にもテンプレートタグの生成するXHTMLやプラグインテーマでもマイクロフォーマットの活用が広まっています。マイクロフォーマットWikiでも、今のところ各種CMSのうち一番充実したページがあるのはWordPressですね。

このブログでも地味に所々でマイクロフォーマットを使ったりしていますが、テンプレートや本文に手動で書くのではなくてプラグインやショートコード、クイックタグ/TinyMCE、カスタムフィールドを使った方法も色々カスタマイズできると思います。

コンピュータが得意な自動化のパワーを最大限に利用するためのマイクロフォーマット。テンプレートを元に自動的にページを生成して記事を公開するWordPressとの親和性はこれからも高まっていくはずです。

5ページと簡潔ですが、このプレゼンのスライドもどうぞ。

画像クレジット(下2つ): cogdogblog

3月 21, 2008
» RSS 配信形式の選択理由

ぼのさん([アンケート] power source* のフィード配信形式)&ひろまささん(RSS の配信について考える)を読んで、私なりのブログのRSS(フィード)観を書いてみます。

私が選択している形式とその理由

抜粋?全文?という点では、私は「全文配信」派です。

自分のブログからは基本的に何でも全文配信してるし、他の人もそうしてくれるとうれしい。

その理由はというと、フィードリーダーでさくさく読めるから…ですね。

伝えたいのはコンテンツなので、このサイトに来てくれるかどうかというのは二次的な目的。限られた時間の中で読んでもらえるのなら、なるべく読者の方にとって楽な方法でそれができたほうがいいんじゃないかな、と思うんです。RSSマーケティングガイドブログのRSSフィードの真価はコンテンツを「ページという檻」から解放することにあるという記事で書かれていることに近い考えでしょうか。

私自身、クリックして本文をサイトで読むのが面倒→読まなくなる、ということがあるんです(ものぐさすぎですが…)。更新頻度がものすごく高いサイトなんかは、貯めておいてフィードリーダーでざざーっと眺めて見ることが多いので、それができないと流れが中断されてしまってちょっとツライ。同トピックの他ブログを代わりに購読しようかな、とまで思ってしまう。こういう風に思うのは純粋な情報系サイトのフィード登録数も多い(多すぎる?)人だけなのかもしれませんが。

全文配信=情報過剰?

ところでぼのさんの記事を読んで初めて考えたんですが、逆にフィードの内容が多すぎてうざい→読まなくなるという方もいるんでしょうか?私は「そのくらいでうざいんだったら、それこそサイトに来てまで読まないんじゃないか?」ということで、全文入れちゃってますが、フィードを純粋な更新チェック用の目的として使いたい人には邪魔かもしれませんね(この記事も長い…)。

でも、内容が多くて嫌だって人は記事タイトルだけ表示させて流し読みしたり、上級者の方はフィードリーダーのショートカットとか使って次の記事にスキップすることも可能。そうやって、全文あれば受信した側で色々工夫の余地がありますよね。一方、配信されていない「含まれないテキスト」はサイトに行くまで見られないのでどうしようもない。というのが、不便かな…と思うんですが。

もちろんサイトのデザインも含めてコンテンツ、というサイト(ブログ)もあると思うし、ひろまささんの

意味と表現の分離なんか、コンピュータの方式とか仕組みのメリットだけのはなし。 本質的にはできないこと。

というのには全然異論はないのですが、ほとんどRSSのみで読むようなニュース&情報サイトについては、「失われてしまう情報」のデメリットよりも、フィードリーダーのみでどんどん読んでいけるメリットの方が大きいと思って、あえてそこには目をつぶってます。ひろまささんの言うところの「いーかげん」な情報伝達と便利さをはかりにかけ、妥協して使っている、という感じです。

私自身もブラウザでRSSブックマークしていて、フィードリーダーを通さず更新されたら読みにいくサイトというのもあるし、まあとりあえず全文があれば受信者が使い方を選べるのでいいんじゃないかな、というあくまで個人的な結論です。

全文配信の問題点

私が気になる全文配信の問題点は、

  1. スプログに簡単にコンテンツを使われるのがうざい。
  2. 読者のアクセス&反応解析がしにくい。
  3. 概要文配信に比べて、逆に読者に取捨選択の労力を強いているかもしれない。

あたりです。

2については、今となっては「フィード経由のクリックで読まれたから反応が高い」と言うわけでもない気もしますが。タイトルがうまくてクリック率が高い記事と、ブックマークやコメントやトラックバックなどの反応が多い記事だったら、後者の方を重要視したいと思いますし。もちろん、ページビューが収入や成長につながるようなブログだったら同じことは言えないので、ケースバイケースですね。

一応FeedBurnerフィードを使って購読者数などが分かるようにしていますが、WordPressの便利な機能(カテゴリごとフィードなど)に対応しているわけではないし、これもまあ妥協ではあります。

ぼのさんのアンケートにお答え

ということで、ぼのさんのアンケートには、自分勝手に答えるなら1(完璧な全文配信がよい)ですかね。でも、修正分はどうだろう…。大幅な変更があったときなんか、「変更しましたー」っていうお知らせを新しい記事に書いたりするほうが、フィードを通して「更新状態を知りたい」人には有益な情報なのでは?と思います。

関連記事

3月 13, 2008
» WordPress と Movable Type は敵対すべきか?

先日TechCrunchで、Six Apart、Wordpressユーザーに乗り換えを進める―Wordpress怒るという記事がありましたが、いまだにWordPressとMovable Typeは敵同士、みたいな目で見られてるんですよねぇ。というかWPとMTの当事者自体がそう見ているのはこの一件からいっても分かるし、Anilのブログ記事でも敵対心が見え隠れするコメントを残しているWordPressユーザー&開発者がちらほら。

「WordPressの良くないところをあげつらって自分の製品を売り込むのはずるい」とかWP側が言ったりしてますが、それはどうなのかな。お互い建設的に意見を出し合って、足りない部分を良くしていくことがユーザーのためなんだから、逆にWordPressもMovable Typeのマーケティング姿勢に文句を付けるのって誰にも何の得にもならないと思う。MattのTwitter発言は失言だったのではないかと私は思います。

そんな中、「喧嘩してるのを見るのはなんかイヤだったので、MovableType から WordPress への移行の仕方を調べてみました。」と言う書き出しでgreenplasticのyosshiさんがMovableType から WordPress へのエントリーの移行という記事を書かれています(お疲れさまです!)。

これを見ると、Movable Typeからの移行は「インポーターがあるかららくちん」と言うわけでもないことが分かります。WordPressとMovable Type両方に必要なのは、敵対することじゃなくて、相互ポータビリティを向上するために改善を続けることじゃないかなぁ。そうするためには協力が必要になってくるだろうし、いがみ合っている場合じゃないですよ。

TechCrunchの記事はこう締められています。

はっきりしているのは、どちらのプラットフォームも完全ではないということだ。どちらもブロガーに相当の手間をかけさせている。両社とも次世代プラットフォームに注目していた方がよい。やがてどちらもこういう製品に食われてしまうかもしれない。

先日SXSW(テキサスで開かれたカンファレンス)に参加した元同僚は、「新しくて面白いアプリやサービスの話であふれてたよ」と話してましたが、WordPressも今の立場に満足せず、よりよい製品になる努力を続けない限り、Movable TypeからWordPressへのマイグレーションが起こった数年前のようなことにもなりかねないのでは?と思ったりもします。

WPもMTもすばらしい製品だと思うので、いい意味のライバルとして両方が成長していってくれるのがユーザーとしての願いです。がんばれー!