まー、相変わらずばたばたしてましたが。
今年は、翻訳関連は全部の権限を奪って好きなようにさせてもらった。翻訳者の選定からスライドの割り当て、成果物のレビューも。自分は仕切りに回って、最後までなるべく手を空けておいたけど、それはやっぱり正解で、最後の最後でややこしい問題が起きてもなんとか余裕を持って対応できた。翻訳に関して言えば一番まともだったと思う。いくつかレビューが間に合わないものがあったり、ギリギリまでスライドを翻訳者にお渡しできなかったりしたけれど、全体としては充分合格点だった。ただ、自分として(翻訳の内容とかではなく)この結果にはまだ不満足で、もっとよくできたはずという思いが残った。このあたりを改善するには、もっと運営にcommitしなくてはいけないね。
運営のほうは改善すべき点がたくさんあって、これは日本人をもう少しスタッフに加えればなんとかなるはず。Dragosはできのいいリーダーなのだけれど、彼が運営まで手を回す(回さなければいけない)から粗が出てくる。細部に美を宿らせる日本人のQA意識を持ち込めば、みんなが幸せになれるカンファレンスにできるはず。ということで、これから日本人スタッフを集めることにした。声をかけた皆さん、よろしくおねがいします。手伝ってみたいひとは連絡ください。
1日目はちょっとだけ、2日目の午後も少しだけ話を聞いただけ。なので、そのなかからおもしろかったネタをご紹介。
Malicious Origami in PDF
PDFネタ。PDFのフォーマット(というかもはや言語に近い)をセキュリティの視点から徹底的に分析したフランス人(フランスのセキュリティカンファレンスの主催者らしい)による発表。当初、スライドが113枚もあって、しかもTeXで、届いたのも2日前という翻訳者泣かせ。相当文句言ったけど、翻訳しがいのある内容だったので許してやった。
PDFはいくつものバージョンを重ね、様々な機能が追加されている。中には、使い方次第で危険な機能もあるけれど、それに対する制限が甘々で、実に危険。具体的には
- 外部プログラムの起動
- 外部リソースの読み込み
- JavaScriptの実行
- 外部サイトへのHTTPによるPOST
しかも、こうした危険な機能に対する制限の実装方法がうんこで、簡単に回避可能。例えば、ブラックリスト方式(明示的に禁止した機能以外はすべて許可)であったり、チェックする実装に欠陥(単純な文字列比較のみ)があったりする。極めつけは、特定の機能はAdobeによるPKIのデジタル署名を必要とするのだけど、Adobeの秘密鍵は誰でも手に入れられる状態。よーするに、だれでも署名して特権を必要する機能を許可できる。PKIの基礎もセキュリティ設計も何もかもがグダグダ。Adobeは全然歴史から学んでいない。アホかと。笑ったのは、このネタの前にAdobeのsecurity researcherがAdobeのセキュリティモデルについて話していた。会場では針のむしろだったのではないかと思う。こんなわけで、PDF virusだって簡単に作れる。PoCもsecurity-labs.orgで公開されてる。もはやPDFは静的な文書ではなく、きわめて動的で危険な機能も含む言語だと認識すべき。
この他にもKerberos認証の突破、ウェブアプリケーションにおけるクロスドメインモデルネタ、Flashを使ったXSSネタがじつにおもしろかった。最後のトークは、speakerが来日できなかったため、NICにSSHサーバを設置するというネタをなんとスイスのGenevaからインターネット中継。これも拍手喝采だった。ライトニングトークでは、招待したTAKESAKOさんがバイナリ2.0ネタを某yappo氏のやる気のないイヌ画像とともに披露。「なんというイヌだ」という声がささやかれる。カンファレンス終了後は、speakerと参加者によるいつものパーティ。いろんなひととつっこんだ話もできたし、PacSecのファンも増えた。やっぱりパーティに参加するまでがPacSecだよねー。speakerと参加者の距離が極めて近くて、いろんなinteractionとか人脈の広がりとか、そういう方向性がPacSecをPacSecたらしめているんだなーと。
というわけで、今年もおもしろいネタばかりで内容はとても充実したカンファレンスでした。直前の参加費用の金額はとても高い(16万円)けれど、事前に登録すれば半額以下になるので、今から来年のPacSecの稟議を通そう!スポンサーには招待枠も与えられるので、何人か送り込むならスポンサーになったほうがお得ですし!運営に参加すれば招待もありまっせ!
UPDATE: 直前までagendaが決まらないのはある意味仕様です。最先端な内容を提供する以上、それは曲げられないとのことです。